レジンが黄変する理由とその対策

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今回の内容を、三行でまとめると…。

  • そもそもレジンの原料(の色)に黄色が多い
  • 黄変の原因は「空気(酸素)に触れる」から
  • コーティングすると長持ちするはず

詳細は下記にまとめました。

なぜ透明レジンは黄変するのか?

上記は、今から5年前の2011年に作製したエポキシレジンによる作品です。日新レジンの『クリスタルレジン』という商品名のエポキシレジンを使用しました。

製作時は、きれいな透明だったのですが、見事に黄変しています。ちなみに、あまり太陽光の射さない倉庫内の机の引き出しに収納していました。

なぜ、透明樹脂は黄変するのでしょうか…。

レジンの原料がそもそも黄色?

実はレジンの原料自体が透明でなく、そもそも黄色の場合が多いです。(2液性の樹脂だと、硬化剤の原料に黄色が多い。)

以下の日新レジンのクリスタルレジンの商品ページを見てみましょう。

クリスタルレジンの硬化剤は「淡黄色」。

クリスタルレジンNEOは「微淡黄色」。

クリスタルレジン2 スーパークリアーは「無色」という表記です。

このように無色透明でなく、少し黄色い素材が使われていることがあります。そもそも透明ではないということですね。

たぶん『デブコン』など他社のエポキシ樹脂製品の取扱説明書にも、このような色味の項目があると思います。お持ちの方は取扱説明書を見ると面白いかもしれません。(おそらく「淡黄色」と書かれていることが多いはず…。)

硬化剤は古くなると黄色が強くなる

もともとの色が黄色である硬化剤は古くなると、より黄ばんだ感じに劣化します。できれば、新しいレジンを使って製作するほうが、黄変するまでの時間が長く保てるでしょう。お店でホコリをかぶったようなレジン液商品を買うのは、避けたほうが無難かもしれませんね。

大容量タイプのレジンのほうが、コスト的に安いです。しかし、少量生産の場合は容量の少ないレジンを買ったほうが、より鮮度を保つことができるかと思います。

主剤・硬化剤の混合比も注目

硬化剤が黄色ならば、主剤と硬化剤の混合比で硬化剤の比率が低いほうが、より黄変しにくくなるはずです。

例を挙げると、主剤・硬化剤の混合比が、「100:50」のレジン液よりも、「100:40」のレジン液のほうが、理屈上は黄変しにくいと思われます。レジン液の選定には、この混合比率も注意しておくとよいかもしれません。

計量は大事!

個人的にレジン液の計量は、デジタルスケールを推奨します。

硬化剤の量が多くなってもレジンは硬化します。しかしながら、硬化剤の量が多めで硬化したレジンは、黄変しやすいレジンになってしまいます。黄色成分が多くなるからです。

正確な計量こそが黄変しにくいレジン作りの第一歩でしょう。

黄変する原因は多種多様

レジンが黄変する理由・原因を考えてみると、さまざまな要因が浮かびます。光・熱・水・応力などが一般的でしょうか。

「光」は、わかりやすいと思います。光の中でも、主に紫外線ですね。レジンの黄変と言えば、原因は「紫外線」と書かれている記事は、ネット上に溢れてますし…。

しかしながら、冒頭で紹介したレジンは、紫外線を浴びにくい環境であっても、見事に黄変していました。他にも原因があるのかもしれません。

「熱」も、樹脂(レジン)の劣化としては一般的でしょう。「プラスチックは熱に弱い」というのは、現代では一般常識の範囲かもしれません。(熱に強いプラスチックも存在しますけども…。)

「水」も劣化要因として考えられるでしょうか。「レジンの劣化は、空気中の水分も原因。」というネット上の書き込みを見たことがあります。確かに、水(もっと言えば「加水分解」)は、樹脂劣化の要因の1つです。しかしながら、屋外で風雨にさらされるレベルならともかく、硬化したレジンであれば、空気中の水分程度では、劣化の心配は、ほぼしなくても大丈夫でしょう。

「応力(ストレス)」は、ちょっと難しい言葉ですが、ざっくりと簡単に言えば、レジンを引っ張ったり、伸ばしたりして、物理的な力を加えると、変形・劣化するという話です。ヤクルトの容器などは、ベコッと押したりすると、白い筋がついて元に戻りませんね。これも立派な樹脂の劣化の一種だと思います。

他にも化学薬品による劣化なども、要因としてはあるのですが、普通に生活している範囲では、上記のような項目が、樹脂の劣化の主な要因でしょうか。

レジンは空気に触れていると黄変する

屋外などで紫外線を含む太陽光を浴びる機会の多いレジンアクセサリーが、その紫外線で黄変・劣化するのは理解できます。

しかしながら、太陽光をあまり浴びない場所で、机の中に保管していたレジンが黄変しているのを見て、「紫外線以外に黄変の原因があるのでは?」と考えました。

ハンドメイド界隈でレジンを扱っていらっしゃる方々の中に、あまり提唱される方はいないようですが、個人的にレジン黄変の主犯格は、空気中に含まれる『酸素』だと考えます。

サラダ油やオリーブオイルのボトルをフタ(キャップ)を閉めずに保管すると、どうなるでしょうか?

サラダ油やオリーブオイルは、空気(酸素)にさらされて、劣化していくかと思います。いわゆる『酸化』という現象ですね。

食品の多くは、空気にさらされると『酸化』して劣化するので、「酸化防止剤」という添加物を配合して、販売されている事が多いのは衆知の事実でしょう。

鉄などの金属も、酸化すると劣化しますね。鉄の場合、酸化鉄になり、これは「錆(さび)」です。

中学の理科で、『酸化還元反応』というのを習うと思うのですが、酸化とは、酸素と結びつく反応のこと。酸素を含む空気に、長時間さらされると、レジンが酸化して黄変するのでは…?、というのが私の見解です。

レジンの黄変を防ぐには…?

人間の場合、紫外線から身を守るには、サングラスをかけたり、日傘をさしたりするほかに、直接、肌に「日焼け止めクリーム」を塗るという方法も一般的でしょう。

レジン製作物も、UVカット成分の入ったニスを塗ることで、紫外線からのダメージを減少させることができると思います。

ニスなどを塗るとレジン表面に空気(酸素)が直接触れることはなくなるので、酸化防止が期待できるでしょう。

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